スイスのローザンヌの駅から、ジュネーブに向かう列車に乗ろうとした時の話です。その日乗ろうとした列車は、InterCity(特急みたいなもの)で、車両の窓は開かないしくみになっています。 さて、3分間ばかり停車するローザンヌの駅で、Shinと奥さんのMariちゃんが列車に乗ろうとすると、不安そうにドアのところまで出てくるおじ(い)さんがいました。降りるのかな、と思ってよけると、降りるでもなく、控えめに顔と手だけだして、手に持った新聞紙を力なさげにひらひらと振るのです。 10分ぐらいたったでしょうか、後ろの方からあたふたと「私はスイス人よ!」みたいな感じのおばさんが周りを見まわしながら駆け込んできました(スイス人って、体のあちこちでテンポが違うことがあるみたいです)。
相変わらずおろおろしていたおじさんに目を留めると、おばさんは車両中に響くような声で、「あらまぁ、ここにいたのねぇ。全く、探したんだから。」と言って(もちろん、フランス語で)、おじさんの斜め向かいに「ドンッ!」という感じで座りました。
おばさんの言うには、どうやら列車の真中あたりの車両に乗っているように、とおじさんに言っておいたようです。おじさんは、大体真ん中に近いかな、と思った、とか何とか言っています。そうすると、おばさんは、 おじさんは、もごもごと、「いや、ドアのところから新聞を振ったんだけどね…」と説明してます。(あれじゃ見ようとしても見えないって・・・) "J'ai fait au moins 20 wagons." おばさんは、おじさんを連れて別の車両に移っていきました。仕切りの自動ドアが閉まったとたん、同じ車両に乗っていた人たちのため息と爆笑が吹き出したのは、言うまでも・・・・・ |