年末のスイスの郵便局です。支払窓口には、年金の受け取り、年末の支払いなどに来た人が、文字どおり長蛇の列を作っていました。 Shinの少し前には、ちょっと山男風の、いかにもスイスの「おやじ」という感じの優しそうなおじさんが、ニコニコしながら「私は我慢なんかしてないよ」みたいな表情で列に並んでいます。みんな、長い間待っているので、焦って窓口に飛びついて、逃げるように帰っていくのと好対照です。 おじさんの番が来ました。おじさんがゆったりと、それでも足早に窓口に近づくと、窓口の係りの人が、たった今、本当に飛び出すように窓口を離れた男の人に何か言おうとしています。おじさんは、目の前、窓口に置き去りになっていた20サンチーム(当時、日本円で17円ぐらい)玉を見つけて、とっさに、ドアから外に出ようとしている男の人に声をかけました。
"Hey! Monsieur! Vous avez oublié la moitié de la fortune!" |