Viola Bastarda

別窓で大きい写真が出てきます photo by デデさん 別窓で大きい写真が出てきます
低音域用のViola Bastardaとして調整した
イタリア・タイプのヴィオラ・ダ・ガンバ
佐藤正人氏製作

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Vincenzo Bonizzi : En vous adieux

デデさんの空中庭園の
viola bastarda
・・・色が混じったスミレ
中・高音域用のViola Bastardaとして使っている
Dario Aguzzi作のヴィオラ・ダ・ガンバ

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Aurelio Virgiliano : Viola Bastardaのためのリチェルカール

 Viola Bastarda(ヴィオラ・バスタルダ)は16世紀から17世紀前半にかけて、イタリアを中心に用いられたviola da gambaの一種です。 アンサンブルの中で装飾を加えていくうちに、書かれた声部から離れて自由に演奏する傾向が生まれ、このような演奏をalla bastardaと呼ぶようになったようですが、 その中で特に目立った活躍をしたのが、リュート、ハープと並んでviola da gambaでした。

 16世紀半ば過ぎに演奏が名人芸的な方向を目指すようになると、このような演奏のために標準以外の大きさの楽器が作られるようになったようで、 そのような楽器がviola bastardaと呼ばれるようになります。さらに16世紀終わりには音域を広げて更に華やかな演奏をするようになり、 特殊な調弦をされた『テナーでもなく、バスでもなく、ちょうどその両者の間の大きさ(Francesco Rognoni, Selva de varii passaggi 1620)』の楽器が生まれることになります。

Viola Bastardaの音楽家たち

ヴィオラ・バスタルダは声楽とともに演奏する「コンチェルトconcerto」、つまり通奏低音の楽器群の中で使われたり、 独奏では主に即興演奏や、有名なマドリガーレなどを元に、ジャズのスタンダード曲のようにインプロヴィゼーションして演奏するMadrigale passaggiateなどに良く使われたようです。 即興性の強い楽器だったせいか、残された楽譜は多くありませんが、Shinが良く弾く機会がある曲としては、次のような作曲家・演奏家が知られています。

 Aurelio Virgilianoについては、いつごろのどういう人物だったか何も分かっていません。唯一、書き残した(未完成ですが)資料集的な書 Il Dolcimelo の中の曲に使われている passagiの音形などからはGirolamo dalla Casa(1543?-1601)などと近い世代の音楽家とも思われます。Girolamo dalla Casaはコルネット奏者だったようですが、 その教則本・曲集Il vero modo di diminuirには、普通のヴィオラ・ダ・ガンバの調弦で弾けるViola Bastardaの曲例が収められています。

 Parma出身の名オルガニストVincenzo Bonizzi(1630年没)は、鍵盤楽器奏者でありながらViola Bastardaのための記念碑的なスタンダード曲集 Alcune Opere di Diversi Auttori を出版しています。 優れた教育者としても知られた鍵盤楽器奏者Claudio Meruloの弟子だったBonizziは、Ferrara、Urbino、Parmaの宮廷などでViola BastardaやViola da gambaの名手たち、 中でもGiulia Guarini(姉妹のAnnaはFerraraの宮廷のスター『3人の女性歌手』の一人、またやはり姉妹でリュート奏者のVittoriaはMantovaでviola奏者Claudio Monteverdeと同僚でした)、 そして当時最大のスター音楽家の一人だった名手Orazio Bassaniと一緒に演奏をしてきたので、この楽器の演奏の可能性を知り尽くしていたのでしょう。Bonizziは低い音域の楽器のための曲を書いています。

Milanoを中心に活躍した弦楽器奏者RicardoFrancesco Rognoni親子も、教則本・練習曲集の中でViola bastardaに言及し、高い音域のViola bastardaのための曲例を残しています。 Francesco Rognoniと交流のあったポーランドのAdam Jarzebskiの合奏曲の中にも、Viola bastardaの指定が多く見られます。

Wikipedia日本語版2006年1月27日 (金) 17:39(Shin_n)の記事作成の元にした文章です。

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